Column住まいづくりのガイドブック

高気密高断熱住宅でよくある失敗事例3選。失敗しないためのポイント解説!

2021.09.2住宅コラム

よく聞く「高気密・高断熱住宅」
単純に断熱材を増やしたり、気密テープなどで気密性を上げたらいいわけではありません。


実は、断熱もバランスや強化するべきポイント、気密性を上げることによるデメリットなどを理解した上で家全体を設計する必要があります。


今回は、高気密高断熱住宅で失敗しないためのポイントを紹介していきます。


まずは今回の記事の結論です。

・数値だけの高断熱住宅でなく、生活する人の普段の使い勝手・明るく開放的なプランで断熱性と併行して考えられているか

 

・窓の性能や庇は、適材適所に設計することが大事

 

・コストとのバランスの取れた、効果の感じられる高断熱の設計になっているか

 

・実測でウソがつけない気密性能の測定にこだわっているか

 

・同じ場所にいる時間が長いベッドでは、コールドドラフトが起こらないようにする


高気密高断熱住宅についてのおさらい

石川の高気密高断熱失敗1

以前のコラム、「高気密高断熱って何?石川県で建てるベストな高気密高断熱住宅について」では、石川県の気候に合ったバランスの良い設計をすると良い、という話をしました。


簡潔に、補足を入れながら”おさらい”をしておきましょう。


高気密では、C値が1以下を高気密住宅、0.5以下を超高気密住宅と言うことが多いです。


高気密のメリットは、「躯体を長持ちさせる可能性が高い」ことと「換気がしっかりできる」ことです。
壁内結露を防止し、躯体内の腐食のリスクを低減してくれると共に、換気をしっかり行うためには一定以上の気密性が必要です。


高断熱のメリットは、「冷暖房の効きがよく光熱費を抑えることができること」「健康寿命が伸びる可能性があること」です。


特に冬季は部屋・廊下などの温度差が広がります。
ヒートショックなどのリスク回避以外では、住宅全体の温熱環境が健康状態に影響が出ることも、様々な研究で分かっています。 (※暮らし創造研究会

高気密高断熱住宅でよくある失敗ポイント

高気密・高断熱住宅のよくある失敗ポイントを紹介しつつ、回避の方法や対策を見ていきましょう。

高気密高断熱の失敗例1:断熱性を重視して窓が小さい

まず高断熱に関するよくある失敗ポイントは「窓」です。


断熱性能は、一般的にUA値という数値で表します。


UA値は、熱還流の平均から算出した数字になってきますので、あくまで「家全体の平均レベル」です。


熱は窓から多く出入りしますので、窓の対策がしっかりされていないと、せっかくのリビングが暑い・寒いということになります。


窓から出入りする熱は、季節によって下記の通りです。(出典:YKK株式会社

・夏:全体の 約74% の熱が外から入ってくる

 

・冬:全体の 約50% の熱が外へ逃げていく

窓のサイズが大きいほど影響は大きくなりますが、反対に窓を小さくするとUA値は上がります


それは熱が逃げやすい窓の面積が減ったことで、家全体から逃げる(入る)熱の量が減るからです。


単純に性能値を上げようとすれば、同じ間取りでも窓を小さくすれば断熱性能アップ。

さらに窓が小さくなるとコストも下がりますので、建築会社側には一石二鳥です。


ただ果たしてそういった住宅で良いでしょうか?


断熱性能が良くても、開放感のない暗い感じの家では少し残念ですね。


断熱を考える際には、通常の生活とのバランスが大事です。

リビングなどは大きい窓が欲しい方が多いと思います。


断熱を考えれば、大きい窓を使う場合、プランによっては1ランク上の窓を選ぶといった工夫が必要かも知れません。


また断熱と言うと「冬の寒さ」を想像しがちですが、夏の強い日差しを遮る「庇(ひさし)」も有効です。


適材適所でコスト・性能・実生活での満足感の3つをバランスよく考えることが大事です。

高気密高断熱の失敗例2:気密断熱にこだわり過ぎて目的を見失う

高気密住宅を目指したい、という方は最近多く見受けられます。


しかし、大手ハウスメーカーや一部の性能を重視する住宅会社等から、たくさん勉強されて「高気密・高断熱」をとことん追求してしまう方も中にはいらっしゃいます。


高気密・高断熱を追求すればするほど、温熱環境も良くなり四季を通じて過ごしやすい室内環境になることは間違いありません。


ただし住宅には適材適所、コストとのバランスも考慮したうえで「ちょうどいい範囲」が存在します。


フジタの省エネのグレードとしては、ZEHレベルの性能を標準的な断熱性能としています。


また気密性能に関してもフジタでは毎回、C値:0.5cm²/m² 以下という実測値になっています。


もちろん、これ以上の性能値にしていくことも可能です。


例えば、先日の物件ではUA値を0.42W/m²・Kまで向上させ、G2グレードと呼ばれる断熱レベルまで引き上げました。


しかし、このG2グレードは効果を感じることができる限界レベルとも言われています。


簡潔に申し上げると、断熱性能はG2グレード以上に性能を上げても「効果がほとんど感じられない」という状態になっていきます。


そのため、コストをかけて断熱材を分厚くしたりすることの「意味」が問われてきます。


フジタではW断熱工法という独自の工法で、UA値の計算上では表されない熱橋(柱から熱が伝わる・逃げる)からの断熱対策も施しており、性能値以上の快適さを目指しています。


数値だけ比較・追求するのではなく、意味と効果の感じられるUA値、UA値で表されない熱橋対策、そして実測の気密性能が失敗しないポイントです。


一生に一度と言われる住宅建築。


「効果とコストのバランスを考えた設計」になっているか、が重要です。

高気密高断熱の失敗例3:寝室・ベッド上の窓を大きく設計

寝室で、特にベッドに近い窓、もしくはベッドに隣接した窓が大きすぎたり、性能が悪いと睡眠環境に悪影響を及ぼします。


特に冬季に影響が顕著ですが、冬季に窓の近くでは「コールドドラフト」という現象が起きます。


コールドドラフトとは、窓周辺の空気が冷やされ、冷やされた空気が窓の下から周囲へ広がります。
「すきま風」と勘違いされる場合も多く、昔のシングルサッシ等ではわずかではあるものの風を感じるレベルになることもあります。


当然、フジタで採用しているような窓サッシではこういった現象は起きにくいものの、1月~2月の真冬の寒い時期はどうしてもコールドドラフトが起きます。


特にベッドに窓が近く大きいと、就寝している時に冷たい空気を感じやすくなります。
就寝中は、同じ場所にずっといることから、そういった空気の流れを考えて設計する必要があります。

高気密高断熱住宅で失敗しないために見極めるべきポイント

上記では、代表的な失敗例3つを紹介しました。


それでは、失敗しないための見極めるポイントをこちらにまとめました。


1:生活が犠牲になる高断熱は、住みやすい高断熱住宅とは言えない

高断熱にこだわり過ぎて、窓が小さい・採光が犠牲になっては勿体ないです。


窓の性能は一定以上の性能があることが前提ですが、夏の日射対策もされているか?でも夏に大きく差が出てきます。


ここはUA値の性能値に表れない部分です。


プランニングを考える上で、バランスが取れた設計を心がけるとよいでしょう。


2:気密測定の実施+断熱性能はG2~ZEHレベルまでが最適

高断熱を目指していても、気密性能が低い(=施工レベルが高くない)と効果が半減してしまいます。
このため、気密測定を実測して最低でも1以下の会社がオススメです。


また石川県の気候に合った、バランスの取れた断熱性能が重要です。


バランスとは、「創り出される室内の温熱環境」と「断熱材や窓にかかるコスト」の2つの相関関係です。


適度な価格で、適材適所かつ効果のある断熱(熱橋対策)を行っていることが重要なポイントです。


高天井からの柔らかな日差しで、上質空間を演出するコンセプトハウスが白山市あさひ荘苑にオープン。


メリハリある横長連続窓と、落ち着き感じるミドリの坪庭が見どころ。


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